白飯

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彼らが本気で編むときは

彼らが本気で編むときは、

彼らが本気で編むときは、

  • メディア: Prime Video

母親が蒸発し(N回目)、叔父のところにしばらく身を寄せることになった小学生のトモ(女の子)は、叔父が同棲するトランスジェンダーの彼女から思いがけず自分の子供のように愛される。

もうひとりのTS?の男の子が自殺未遂して病院に忍び込んだ後の主人公のセリフが自殺しようとした友人にセリフではなくひやひやするが、そのあとに続く「あんたのママは、たまに間違う」というセリフが鮮やかで、別の意味でクールで、素晴らしかった。母親に理解されない自分、母親の望む子供になれない自分に引き裂かれていた彼(彼女)が、どうか救われていればよい。また、このセリフは、既に映画のクライマックスにおけるトモの決断に結びついている。彼女が気づいてはいなかったかもしれないが、このときすでに気持ちは決まっていたのだ。
人生は幸不幸のまだらもようで、人は矛盾に満ちている。偏見はなくならず、悲しみや悔しさは時間を超えて残るだろう。ただ彼(彼女)らが手編みの男根を作り上げるまでのような幸福な時間もまたなくならず、また形を変えて訪れるのだろう。そういうふうに信じて、自分が生きる場所で生きていく、というようなことを思った。
どうしようもなく腹がたったときは編み物をするのだとリンコさんは言っていた。せめて幸福な時間が多いように、祈っているようにもみえた。