白飯

好きな物100

南極料理人

南極料理人

南極料理人

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

第38次南極地域観測隊のメンバーとして南極大陸ドームふじ基地にやってきた8人のおっさんたちの一年。ペンギンもアザラシもいない閉ざされた中で主人公の西村は毎日料理を作る。

日常と非日常、おっさんと少年が入り混じった、どこかコミカルで一触即発でどんよりで明るい雰囲気は、確かに南極のマイナス54度の1分740円の電話のある閉鎖空間によるものなのだろう。普通のようでいて、半ば狂いつつも、理性を保つ。ごはんがそれを助けている。
この空気感が独特で、冒頭の吹雪の中逃げ出した隊員を連れ戻すような事件は最後まで起こらない。淡々とした日常がただ続いていくのに興味はぜんぜん失わない。そして少しずつ変化は蓄積されていく、それにはそこにいる本人たちも気づいていないかもしれない。劇的じゃなくても変質は常に起きている。そういうものだろう。そして、それは日本に帰ってきてからも気づかず、主人公は、帰ってきて食べた動物園の高そうなハンバーガーで気づくのだ。
この素晴らしい塩梅。こういう時間を提供できる創作ってすげーなと本当に思う。ありがたや。