白飯

好きな物100

百円の恋

百円の恋

百円の恋

  • 発売日: 2015/07/09
  • メディア: Prime Video

32歳無職で実家の弁当屋を手伝いもせず出戻りの妹の子供を156回以上も大人げなくゲームでボコボコにする斎藤市子は妹とつかみ合いの喧嘩の末に家を出てアパートを借り近所の百円ショップで働き始める。なんとなく気になる崖っぷちのボクサー、長時間労働うつ病の百円ショップ店長、おしゃクズアラフィフフリーター、ストレスで神経過敏のエリアマネージャー、廃棄品を盗んでいく電波系ホームレス?ばあさんなどと出会い、一子は百円ショップの仕事を覚え、ひどい目にあい、ボクサーとの恋愛の果てに、ボクシングにのめりこんでいく。

それまで、不器用で不気味だった動きは、ボクサーのそれになり、シャドーのパンチは空を切り、実際に精神がいかれたマネージャーをワンツーで突き放す安藤サクラの動きはめちゃめちゃかっこいい。めちゃくちゃ強そう!プロテストも1回で合格し、クライマックスの試合まで突き進んでいく…。

冒頭から閉塞感半端ない。どこか行き詰って負け続け疲れ果てているさなかの登場人物たち。それでも毎日は続いていき、生きていくために進んでいかねばならない。そして、それぞれにとって決定的な終わりが訪れて、それでもまだ続いていくのだ。なんて恐ろしいんだ。もうやめてくれ。


しかし、ボクシングにのめり込む一子の姿を描き始めて物語のテンションは変わっていく。何かが一子を体から変えていく様を、わくわくしながら見ていくことになる。かっこいい。強そう。

最後の試合では泣きそうになった。夜一人で見ていたなら泣いていた。ボコボコで息切れして死んでしまいそうな一子の顔を見て、奥さんの出産時のことを思い出した。妹の叫び、一子の吠える声から左フック、最後のダウン、フラッシュバックする痛々しい過去、新井氏の激励、最後の一子の姿、全てが泣けた。
負け続けても人生は続く。勝つのは難しい。それでもファイティングポーズをとり続けることの尊さ、強さ、しんどさを感じた。よかった。