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「飼い犬キャロル」ニットキャップシアター・ワークインプログレス公演

ワークインプログレスとは『面白い作品を作るために創作の途中でおこなう試験的発表のこと』らしい。「飼い犬キャロル」の本公演は12月に始まる。


舞台上には、椅子が何脚かと、ボタンや魚、人の顔などが描かれたパネルが吊られている。そして、中央にはおそらく本公演のセットのミニチュアが置かれている。


結局今日行なわれたのは、登場人物達による朗読で、要するに読み合わせといった感じだった。役者さんの声に色気があるので、僕は楽しめたが、普通に公演があると思ってた人はどうだったのだろうか。前売り500円を高いと思うか安いと思うかだが。リーディング公演というのは初めてだけど、役者の人の演技も伝わってきて、ミニチュアの舞台や、吊り下げられた重要な小道具の絵なども良い感じに作用していたと思う。


話は、母の失踪を知って久しぶりに実家のマンションに帰ってきた息子の周りで、連鎖して不思議な事が起こっていくというもの。大量の謎、母の失踪やら謎の健康飲料、ボタン、もうひとつの世界といったキーワードをわんさか伏線として散りばめたミステリのような構成だが、やはりというか結局謎は解消されなかった。想像の余地はあるのだけど…、もう一回見てもわからんだろうなあ。


噂では本公演では第二部があるらしく、公演の最後に脚本・演出のごまのはえさんが「このあとどうなるか考えてません」とか発言していた。第二部で全ての謎が明かされるのか?とか期待しない方がいいだろう、と経験上感じている。


登場人物達の会話はいつものように可笑しさを含んだ軽快さを持っているのだが、事態が悪化していって現実味がどんどん薄れていくのが感じられて、不穏な空気が舞台上に漂ってくる辺りがとても良かった。今回はこういうのやりたいのかなと思った。でもHP見たら、純愛コメディと書いてあった。それは、違うだろうと思った。