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「パンク侍斬られて候」町田康

パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候


面白いなー、面白いけど少し町田康を誤解していた気もする。前に読んだ告白は途中おかしくなりつつも最後はかっちりしてて、せつない気分になったのだけど、パンク侍には、おかしくなりつつも最後はもっとおかしくなって、最後は一応締まったのかなと思うくらいの印象。でも冒頭が繋がる最後は割と好き。


小説の文というのは、文章の量とかとは別に、スパッとした切り口で、なるべく簡潔に情報量を多くして、物語に入りやすいようにカッコよく整ったものを書くべきだという観念があったのだけれども、この文体はその逆で、まわりくどくて長ったらしく、長文になると時代考証がぶっとんで家老が僕とか言い出したり語り口がこころかわったりする。でもそれが読みやすくわかりやすく面白くて新鮮だった。何だか難しい言葉を使って意味伝達をカッコよく省略しようとした結果意味の分かり難い文章になるようりも、平易な言葉で、回り道するようでも、自分の思ってることをそのままに書いた方が良いときもあると思った。まあこれは文章及びプレゼン能力が大学時代から会社入って現在に至るまでに、全然成長していなくてダメな僕だからこそ、そう思うのであって、分かりやすい文章を書こうとしている人にとっては当たり前な事なのかもしれない。今少し意識して書いてる。文章がどうあれ、面白い。くはは。


告白でもそうだったけど、ダメな人間の生き方、考え方をとてもうまく説明してくれていて、その辺がとてもよかった。読んでいると非情に楽しく、ときにへこむのだが、何だかとても丁寧に説明された感じで、この人すげーなと思った。


最後の方は、物語が終局に向けて崩壊していく神話的な情景が面白いっちゃあ面白かったけど、前半のダラダラした会話の逃れが好きだった。家老の内藤が、掛の内面と心情を完全に詠みきった上で説明して圧迫して追い詰めるところとか楽しかった。ああ、もっとこの人の人間観やら世界の捉え方とか読んでみたいなあと思ったら、エッセイとかあることに気付いた。これまでエッセイとか全然興味なかったけど、なるほどこういう風にして読みたくなるものなのだなあと26年目にして思った。くほほ。←楽しい。