白飯

好きな物100

テロリストのパラソル

また傘を盗まれた。
夕方少しだけ雨が降っていたみたいで、地面が少し濡れていた。僕の傘はなくなっていた。
今度の傘は昨日買ったばかりだった。いつもの透明に黒柄のコンビニ傘だ。柄のところに穴が開いていて、何かを吊るせるようになっている。傘に個性を持たせて間違えるのを防ぐ為だろう。僕は、よくコードをまとめるのについてる針金の入ったビニールのやつ、の茶色の紙のような外見のを付けておいた。

間違いではありえないだろう。それとも善意の傘と間違えているのだろうか。盗まれたことよりも、盗んだ人間に腹が立つ。人を憎んで罪を憎まず。自転車だったので、とりあえず駅までのルートを探ってみた。もし、犯人がのうのうと歩いていたならば……。

しかし、怒りを通り過ぎたのか、気持ちは静かだった。テロリストになる人も、こういう静かな気持ちなのかも知れない。スーパーサイヤ人も穏やかな心から激しい怒りで目覚めるし。
でも、今回は反省した。僕は傘泥棒の他人の迷惑を考えないところに怒っているけれど、僕がたまにコンビニで立ち読みするのもコンビニの人にとってもすごい迷惑なのだ。知っていたけど、無視していた。そういう部分がダメだったんだ。もう立ち読みはやめよう。読みたかったら買って読もう。これに気づかせてくれてくれた傘泥棒には感謝するつもりは全くないので、今度見つけたらとっちめる。