白飯

好きな物100

「パンドラの鐘」劇団すきっす

久しぶりに演劇っぽい演劇を見た感じがした。最近見てた演劇は、もっと自然な空気だったが、こっちは最初から非現実をつきつけてくる。

長崎で遺跡の発掘を続ける教授と助手。発見された遺物から空想され解明されていく古代。
狂王の治める海賊の王国と、葬式屋、パンドラの鐘。現代と古代をいったりきたりしながら、パンドラの鐘で交錯する過去と未来……みたいな感じの。

怒号と叫喚、異次元の会話、俊敏な動作と停止が怒涛の勢いで続き、そこらじゅう跳ね回るイメージ。はじめは、発散され膨張し続ける意味の薄い会話と動きに戸惑ってしまうが、好きな役者さんの動きや声に惹かれて、ストーリーが動いて収束してくると、オーバーに見えたアクションがこう心に響いてくるみたいな感じになってくる。なんかパワーみたいなもの感じる。日常にないものがそこにある。ないもの、こんな可愛い小悪魔みたいな女の子とか、死への思いを爆発させる「葬式王」のカッコいい独白とか。こーいうのやっぱいいなあと思う。


何人か雰囲気の良い役者さんがいた。単純に好みも在るが、声と動きに無駄がない。特にこういう演劇は、やたらストーリーに関係のない動きとセリフが入るので、そこをいかにメリハリつけて、一つの場面を作品として仕上げるられるかにかかってるなと偉そうに思った。いくつか会話の内容が意味不明すぎたり、セリフと動きの意味付けが感じられなくて笑えない部分もあったのが惜しいと思った。あと、端っこの方で、細かい演技してるのも好きだ。全てに整合性を持たせる必要がないので自由だ。見つけられなくても良いからやるという姿勢が素晴らしい。ただ見るほうはこういうディテールに拘ると本筋がおろそかになる。