白飯

好きな物100

本を返せ、人間の尊厳を返せ

「返却期限も守れなくては、社会人失格だ」と後輩の父親は言った。かどうか知らないが似たようなことを言ったそうだ。未だに忘れない。しかし、先々週の日曜に借りた本を未だに返しにいけずに今日にいたっていた。本来の返却期間は2週間。

だからこそ今日は返って直ぐに読みかけてた「どんがらがん」を無理矢理読了。すぐさま自転車に飛び乗って図書館を目指した。冷たい息は喉を焼く。なるべく大きく息を吸い込まないように注意しながら全速力で漕ぐ。太腿がミシミシする。だが、力を緩めない。頑張れば本を返して借りることもできるんだ。

そうして辿りついた図書館に灯りはなく、玄関には「本日休館」の看板があった。何のためにこんな、というがっかりした気持ちを、いや早く返すことに意味があった、返さねばならなかったのだと納得させた。これが、大人になること…?