白飯

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どんがらがん

珍しく外国の小説。ネットの書評も良くて、「ハサミ男」の殊能将之も大好きで自ら選んだ短編集。大いに期待して、でも失望覚悟で読んだ。

書評どおりといった感じで、SF、ミステリ、幻想と幅広いジャンルの世界が、短い話の中で展開されて、どれも世界に引き込まれる。悪文と言われる、回りくどくてややこしい文章は、訳者の人の力か、そんなに気にならなかった。

短い文章で、説明もせずに、イメージを見せるのは凄いなあと思った。世界観は、大体ねじくれた所にあるけれど、案外正統派だったりする。「眺めのいい静かな部屋」「パシャルーニー大尉」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」なんかはミステリ風味が心地よかった。
タイトルの「どんがらがん」は、破壊兵器「どんがらがん」を巡るファンタジー中篇。回りくどい台詞が続く昔話的なイメージなのだけど、どんがらがんを奪う主人公の策が、やけに効果的な正攻法で驚いた。