白飯

好きな物100

善良な魂と、スポーツと太陽と

実家から寮に帰る電車の中で、メガネを外して横に置いたカバンの上に乗せて、本を読んでいたとき、電車が揺れて、カバンが落ちた。カバンを拾い上げたら、前の席に座っていた丸坊主の高校生がメガネを拾って渡してくれた。僕と丸坊主は電車の左右にくっついた長いすに座っていて、丸坊主は、高校生らしく生意気そうでガムでもクチャクチャやってそうな風貌なのに、落ちたときにすぐに腰を浮かして拾ってくれた。電車は駅について、大きなカバンを肩にかけて、外に出たら、スポーツバッグを肩にかけた爽やかな少し茶髪の高校生と肩が少し触れた。そしたら茶髪は「すいません」と即座に謝って去っていった。

何でもないことなんだけれども、植物が光を浴びて酸素を吐き出すように、この二人の善良な少し茶髪と丸坊主は、自然に僕の心を爽やかにしていった。世の中は暗い辛いというけれども、こういう小さな善意のやり取りが、人と世の中を明るく爽やかにしていくんじゃないかなと清らかな心で思った。