ビスタへ
実家に帰って、新しく買ったノートパソコンの設定などをしていた。設定といっても、インターネットに繋ぐ、メールの設定をする、データを前のパソコンから移すくらいだが。実家のメインPCのOSはWindowsMeであり、シャットダウン時によくフリーズするドジッ子だが、よく頑張ってくれた。これからはDynabookのVistaが君の代わりとなろう。Meは何も答えず、ただいつものように、シャットダウンの命令を聞いて、電源を落とした。もう使われないかもしれないのに。さびしくなって、もう一度電源を入れる。そうだ、ブラウザのお気に入りを移さなければ。そう、さびしくなんかない。お前はいつも意味不明にフリーズするし、遅いし、ディスプレイは奥行きが長すぎて、この壁にくっつけて置かれている机の上のほとんどを占領している。キーボードの肩身の狭さを想像したことがあるか? ないだろう。お前はただの機械だからな。……少し、言い過ぎた。ディスプレイは別売りだったな。お前はそれほど悪くなかったよ。よくやってくれた。さようなら、Me。これからはVistaが君の代わりに……代わりにやってくれるだろう。ただ、ノートパソコンなんでな。あちこち持って行って使うだろう。無線ルータがくるまでは、そのときインターネットに接続できるのはお前だけだ。また使わせてもらうかもしれない。そのときは、よろしく……。
世代交代はあっという間に行われる。Windows98のノートからデータを移すのに、フロッピーで、デスクトップ(Me)に移してから、USBメモリで、ノート(Vista)に移すという手順に気づくまで、データが取り出せない!と絶望感に打ちひしがれた。大学のときのデータとかあったので、そのとき使ってたんだなあと、解像度の低いデスクトップ画面を見ながら思った。