白飯

好きな物100

「FLIP-FLAP」とよ田みのる


FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)

FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)


ラブロマ」作者の最新作。買ってよかったと素直に思える作品。面白かった。


今度は「ピンボール」に夢中になる女の子と、その子が好きになって「ピンボール」を始めた大学生が主人公の話。またラブコメかと思いつつ読んだらちょっと違った。前作同様の軽くて優しい空気は心地よい。後、恋の話というより、ずっとピンボールしてる。それでも、超面白い。ピンボールにのめりこんだときの主人公らの描写がもうすごい。ページから、ぴりぴりした集中とか熱が伝わってくる。漫画ってすごいな!と思った。


あと良いなと思ったのが、作中で何度か「何でこんな無駄なことをやってるんだろう」という思いやら言葉が、当然出てくるんだけど、それに対して明快な答えが(軽く)出ていたところ。

「そんなに意味のあるものなんですか?」
「無いです」
「こんな無意味なことを続けていて、空しくならないんですか?」
「なりません」


「ただ心が震えるのです」

「それが無意味なゲームでも……
 いやゲーム だからこそ
 俺の心は……
 俺の心は
 本気で
 楽しめるんだ!!」

「本気で」というところがミソで、そうじゃないと只の言い訳になるなと思った。
何というか、世間には、価値の平均値というか、一般的という概念が浸透しているので、それが「好きなものをただ好きでいる」事をしにくくしているところがあるよなと思った。そういう人が迷いを吹っ切る為の良いファンタジーだと思った。


でも、多分一度何かの趣味で心震わせた人も、その瞬間を再現するために、膨大な時間を費やしてしまうこともやっぱりあるよなと思う。そういう部分を無駄と思うか、必要コストと思うか。うーん。