「FLIP-FLAP」とよ田みのる
- 作者: とよ田みのる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/23
- メディア: コミック
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「ラブロマ」作者の最新作。買ってよかったと素直に思える作品。面白かった。
今度は「ピンボール」に夢中になる女の子と、その子が好きになって「ピンボール」を始めた大学生が主人公の話。またラブコメかと思いつつ読んだらちょっと違った。前作同様の軽くて優しい空気は心地よい。後、恋の話というより、ずっとピンボールしてる。それでも、超面白い。ピンボールにのめりこんだときの主人公らの描写がもうすごい。ページから、ぴりぴりした集中とか熱が伝わってくる。漫画ってすごいな!と思った。
あと良いなと思ったのが、作中で何度か「何でこんな無駄なことをやってるんだろう」という思いやら言葉が、当然出てくるんだけど、それに対して明快な答えが(軽く)出ていたところ。
「そんなに意味のあるものなんですか?」
「無いです」
「こんな無意味なことを続けていて、空しくならないんですか?」
「なりません」
「ただ心が震えるのです」
「それが無意味なゲームでも……
いやゲーム だからこそ
俺の心は……
俺の心は
本気で
楽しめるんだ!!」
「本気で」というところがミソで、そうじゃないと只の言い訳になるなと思った。
何というか、世間には、価値の平均値というか、一般的という概念が浸透しているので、それが「好きなものをただ好きでいる」事をしにくくしているところがあるよなと思った。そういう人が迷いを吹っ切る為の良いファンタジーだと思った。
でも、多分一度何かの趣味で心震わせた人も、その瞬間を再現するために、膨大な時間を費やしてしまうこともやっぱりあるよなと思う。そういう部分を無駄と思うか、必要コストと思うか。うーん。