白飯

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ニットキャップシアター「恋愛戯曲」


いい脚本、いい役者、いい舞台。面白かった。最初は知り合いが成長している事をしみじみと感じていたが、中盤から話に引き込まれてぐいぐい見てしまった。


話は、締め切り間近のテレビドラマの脚本家の家を訪ねたテレビ局の制作が、作者に脚本を書くために「私と恋に落ちて」とか言われる。脚本の中では脚本の賞に応募した地味な妻と、その脚本に目を付けたプロデューサーという現実世界とよく似て少しずれた物語が展開され、さらにその妻の書いた脚本の中では、まんま現実世界と同じような物語が描かれる。さらに郵便局を襲い逃走中の男女が乱入して、その二人も脚本の中に取り込まれながら、話が進んでいく。


基本的に奇矯な脚本家、どこかずれた執事(?)、割とまともなテレビ局の人、やっぱり少しおかしい強盗二人組の話は面白いのだけど、脚本家と執事(?)の本当の関係やら、それぞれの狂気が、垣間見えて引き込む。笑いも狂気も、舞台に顕現させるにはそれなりの儀式と力がいるのだなあと思った。ええ脚本とそしてそれをやるだけの役者が若手だけどいるんやなーと思うと、少し寂しくなったニットキャップシアターも今後まだ楽しみだなと思った。


現実・脚本・脚本の中の脚本は、パラレルワールドのようで、恋愛というものを軸にそれぞれ違うドラマを生み出していて、それが入り混じるのが面白い。