白飯

好きな物100

弟の下宿を訪ねた日

今日電車に乗っていると、直ぐ近くで「あんなー、あんなー。たいちゃんのやつはな水系でなー。あんなー、あんなー」という子供の声が聞こえてきた。『言いたいことがたくさんあり過ぎてうまく言葉にできないもどかしさ』をヒシヒシと感じて微笑ましく懐かしく感じると同時に、心の中で「大人になっても同じだよ」と寂しく笑うのだった、かっこよく。正確には大人になるほど「うまく言葉にする技術」は求められるのだけど、子供時代にその技術向上を怠ると後で痛い目を見てしまう大人がいて、それは僕のような大人だ。言葉というツールは非常に汎用性が高い道具であるかわりにやっぱり使うのが難しいということだな。


で、その子供は三人居て、ポケモンの戦いを真似た遊びをしているようで、ちらりと青いポケモンの人形を持っているのが見えた。
さっきの「あんなー」の子は二人の戦いを見て、あまりポケモンに詳しくない子に、もう一人と一緒に色々教えたがっている。
「はよ技決めーや」と”くろうと”風なもう一人が言って、”しろうと”風なもう一人が「うーんと、******1と、気合いパンチと、*****……」とちょっと自信無さそうに技を決めて、”くろうと”の子は「じゃあ、俺は*****とハイドロポンプハイドロカノン」と素早く決める。
特に道具を持っている様子もないのに、ポケモンと、そのポケモンの技を予め3つ決めたりして、なんかルールがあるのかなと、興味深く様子をうかがっているとついに闘いが始まった。
”しろうと”の子も、最早ノリノリで「ほないくで、気合いパンチ! グシャァン!」と技を繰り出す。やっぱり、ファジーな感じ。
そしたら、”くろうと”の子の訂正が入る。
「気合いパンチは1ターン気合い溜めんとあかんのやで」
「そうなん」
ほお、ちゃんとしてる。水をさされた”しろうと”の子は素直に気合いを溜めるのだが、
「×××は気合いを溜めている。うぅーん! グシャァァン!」
結局攻撃する。これから攻撃しようとしていた”くろうと”の子の指摘が再び入る。
「早い、早すぎるって」
やっと”くろうと”の子の攻撃番になり、
「いくよ、こっちの攻撃。ハイドロカノン! ブァハッ! はい死んだ」
やっぱりルールはなかった。

*1:なんかの技名