楽日
始まる前
昨日より緊張していない。
暗い袖で、じっくりと、緊張感を高める。
演技は常に新鮮な気持ちで演じなければならないとの、アドバイスをうけて、最後だとか昨日より良くするとかは考えないようにする。昨日の舞台で思ったことも、前から言われていたことも一緒にして、一つの舞台を作ることを考える。
一人、暗い袖に座っていると、とても気持ちが良い。雰囲気に酔っているところもあるんだろうけど、心地よいとかリラックスできるとかじゃなく、ざわざわと落ち着かなくて、非日常的な気分を堪能できる。
息を吸うたびに、胸の奥で炭がいこるかのように、緊張感が湧いてきた。
全身に緊張感が行き渡るようなイメージをする。要するに緊張が頭ばっかりに集中して上手く動かなくなるから、よくないのであって、緊張感が体中に良い感じに行き渡ればいいのだ。
そういう非日常感を楽しむ。楽しい。
本番
いきなり間違えた…。
有り得ない。出忘れてた。気付いたら出るべき台詞が始まっててに、パニくって、他の人に「ここ、僕の出番?」とか聞いていた。数十秒遅れて出る。
共演者のおかげで、大惨事にはなってないようだった(希望的観測)が、他の皆さんには多大なるご迷惑を。本当に申し訳ない。すみません。
その後は、なんとか気持ちを切り替えて、他は無事終了した。
ミスは論外だけど、自分が、お客さんから、どう見えていたんだろうと思う。共演者に見られるのとお客さんに見られるのはまた違うと思うし、自分が具体的にどうなのか、よくわかってない。
きっと合格のレベルはもっともっと上にあるのだとは思う。それについて、いろいろ反省点はある。が、とりあえずここでは置いとく。
全体的な感想として、舞台の上はとても楽しかったに尽きる。ああ、面白かったー。
打ち上げ
ウコンの力を飲んで、楽しく酔っ払って、二次会で歌って、盛り上がった。楽しかった。スタッフも役者もプロデューサーも東山職員も全てが一つになって一夜を楽しんでいたように思う。スタッフの人が「楽しい演劇は今日まで」というのを繰り返し言っていたのが少し気になったが。大変なんだろうなあ。
これは、酒を飲んでるから楽しいわけでも、このメンバーだから楽しいわけでもなくて、多分その前に三ヶ月の時間があって、昨日と今日の公演があって、このメンバーが揃って、今日が最後の一夜だからこんなに楽しいのだと思う。
昨日、最初の公演が終わって感じたのは、安心感ではなくて、寂しいという気持ちだった。これまで練習してきて、いろいろ言われたり、話し合ったり、練習したり、遊んだりしてきたのが、この1時間20分×3で終わってしまう。演劇(に限らずだけど)の、その瞬間にしか存在しないという、時間と空間と人が交差する一点というのを凄く貴重なものに感じた。
自分が公演で何を思うかとか、全然想像できなかったけど、プロデューサーをはじめ演出やスタッフさん方が、かけてくれていた情熱というか苦労は、最後の結果というのが、そういう一瞬でしかないことを知っていたからなのだなあと思った。
すごく良い環境だったなあと思う。この環境ならもっといろいろやれたように思うが、そこは僕の反省すべきところで、今後直していくべきところだ。ここで感じたことや考えたことは、無駄にしたくないなあと思う。