白飯

好きな物100

「パーマン」「エスパー魔美」藤子・F・不二雄

何度目かの再読。何度読んでも面白いなあ。藤子先生の漫画を読むと、優しい幸せな気持ちになれるのは、今僕がなんやかんやで幸せだからだろうか。

パーマンは、途中から等身が上がって、新パーマンになる。絵が最近の絵に近づいてきれいになって、魔土災炎の発明や、パーマンセットでこずるいことをミツオが考えたりといったドラえもんに近いパターンになる。昔はそっちの方が好きだったのだけど、今回は、旧バージョンの方が好きだった。何が良かったというと、人助けするときのミツオの表情だ。ミツオはすごく困った顔をする。宿題やらなあかんし、みんなパーマンばっかり褒めるし、忙しくて疲れてるし、それでもミツオはパーマンになって人助けする。ここがパーマンの一番のカタルシスだ。エスパー魔美も同じだ。エスパーであることを隠さなければならないが、助けないわけにはいけないと判断したとき、魔美は同じ顔をする。自然にそう思って行動することのできることが素晴らしい、と素直に感じられる。頭も悪いし、運動もできないミツオがパーマンに選ばれて、最終回ではその先にも進むことは、そういう部分だと納得できるのがうれしい。
エスパー魔美は、パーマンより人助けの規模が小さくなるのに、敵は恐ろしくなる。女の子を殴り飛ばすような誘拐犯や強盗、テストで負けた腹いせに悪戯電話をかけるクラスメート、友人の家に盗聴器をしかける中学生、芸術で中学生を脱がせようとする映画好きの先輩、搦め手で下心を満足させようとする嫌な先輩。ああ、いやだなあ、こういう人たちという現実のあれこれ。でも、それに応対する魔美の父親や、高畑君の姿勢が素晴らしい。有名な「くたばれ、評論家」の回での、魔美の父親の対応とか漫画で読むとすんごい気持ちがいい。こないだインターネットで勝手に読んだブログで腹が立ってモヤモヤしてたのを、それにならって、「この髭野郎!オシャレアゴヒゲ生やしてんのか!想像だけど!」と怒ったらすっきりした。あと高畑君めちゃくちゃかっこいい。頭良いんだけど論理的じゃないところもあって、野球での打率の論理の頭おかしさ、そして、野犬の群れに囲まれたとき、笑って「まあ、見ててよ。生まれてはじめて ぼくは死にものぐるいになるぞ」と言ったときの男らしさよ。
最初に買った漫画の単行本がドラえもんで良かった。子供の頃、藤子不二夫ワイドを見れてよかった。日本に生まれて良かった。


パーマン (5) (小学館コロコロ文庫)

パーマン (5) (小学館コロコロ文庫)

エスパー魔美〔小学館コロコロ文庫〕 (1)

エスパー魔美〔小学館コロコロ文庫〕 (1)