白飯

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「ドロヘドロ」林田球

ドロヘドロ (12) (BIC COMICS IKKI)

ドロヘドロ (12) (BIC COMICS IKKI)

最近、何度目かの読み返しをしていたが、やっぱり面白い。
人間の住む「ホール」と、「ホール」とは別の次元にある(と思う)魔法使いの国、そして悪魔の住む地獄。「ホール」は暗く有害な雨が降る劣悪な場所で、たまに「ドア」を通って魔法使い達が、人間を練習台にする為にやってくる。こう書いてみるとなんと夢も希望もないダークな雰囲気が漂っているし、実際、主人公カイマン(顔がトカゲ)は記憶を失っており、自分をトカゲにした魔法使いを捜すべく、友達の二階堂と、ホールに来た魔法使いを問答無用で惨殺している。でも後から出てくる魔法使いの世界の有力者・煙とそのファミリーも含め、みんなどこか倫理観の欠けた恐ろしい人たちなのだが、人間らしい(?)日常生活や友情の感覚が楽しい。この辺の空気感の作者のセンスがすさまじい。魔法使いの設定も凝ったものはない(魔法使いの魔法は基本一人一つで、キノコにする魔法、バラバラにする魔法、傷を治す魔法、恐竜にする魔法等々)し、大体がいいかげんだ(基本的に悪魔は強く、魔法使いから崇められる存在だが、別に世界を治めたりだとか凄い悪いことを企んだりとかじゃなくて、美味しいものを食べたり、魔法使いをいじめたり、作曲したり、すごくいい加減に生きてる)。でも本編やおまけマンガで補完されていく設定が、徐々に世界を肉付けしていって、確固たる世界観を提供してくれる。ジャンプやサンデーなんかでは、それぞれがそれぞれの世界観を持っているが、凝った設定が必ずしも良いのではないとわかる。ハンター×ハンターの世界も好きだけど、ドロヘドロの方がだいぶん好きだと思った。