BOOK
小説の中に存在する架空世界ブック。そこには、物語として語られる「本編」と、物語として語られぬ「行間」が存在する。”その世界にはたくさんの人々が生きて、そして死んでいった”(中略)
http://www.peacepit.net/hyt2/book.html
ある日、架空世界ブックにもたらされる五冊の本と一本のペン。それは、ブックの物語が記された原書とそれを書き換えることのできる原作者ベン・ハートのペンだった。
「一巻+二巻」「三巻+四巻」「五巻」の三部構成で、一応、それぞれを独立で見ても楽しめるようになってます。とチラシには書いてある。だが、それは巧妙な罠だった。僕は「三巻+四巻」を見たのだけど、ラストが気になって次の日も見に行ってしまった。
すげえもの見たぜというのが、五巻最後の登場人物達がテーマ曲である歌を合唱する辺りで感じた感想。「三巻+四巻」が休憩あわせて三時間半。五巻も二時間超と長い。一巻から五巻までで七時間以上あるという。さらに、台詞は長くて早くて、そしてええ声。ジョジョ(しかも波紋)やらプリキュアやらアクアブレス(FF)やらパロムとポロムやら、若干年齢層が高めな劇場内で無茶苦茶やりよる。スゲー密度だ。
物語の舞台はファンタジーで、それに真正面から向き合ってるのが凄いと思った。メタに逃げるのでもなく、楽屋オチや度を越えたギャグも、あくまで笑いの要素に留めて、真面目にファンタジーを演じる。役者の技量と魅力、そして演出でやろうとしている。1.CGは使いません。2.映像は使いません。3.黒子を使います。4.人力で描きます。
ファンタジーを描こうとしたら、一番早いのが小説で、次がアニメでその次が映画だと思う。小説がいいのは、想像力に任せられる所で、アニメや映画は想像力で描けるところ。演劇と言うのは、変な人間と世界は描けるけど、真っ当に変な世界は難しいと思ってた。でもこれは結構良く出来てたと思う。内面描写や、視点切り替えや、過去の追想やら全部人力で出来るんやなあ。見るほうがどう感じるか、という難しい事をやってる、演劇の技術って凄いなあと思った。
物語世界と言うことで、黒子が、最近ゲームとかで良く見るようなかっこいいフォントで書かれた文字を持ってわらわらと出てくる。この文字かなり使えて、登場人物の名前、場所、章の名前等がかっこよく表示される。物語世界と言うことで、文字は象徴的に使われたり、辺りを漂ったり、なかなか雰囲気を出してる。ベン・ハートの本を持った覚醒者が、本の力を使うときに、文字がばっと広がっていくのがかっこよかった。映画とかで見た迫力が想起されたんかな、同じくらい良かった。
感想はたくさんありすぎるのだけど、適当に切り上げる。ええもんみたわー。
惜しむらくはラストが、掴み取ったラストではなくなるようになったラストだったことと、殺陣(剣劇)がしょぼしょぼだったこと。
こんな大変なの多分再演はないだろうなあ。DVDでたら欲しい。