白飯

好きな物100

第7回

今日は読み合わせのはずだったが、1時間遅れて部屋に入ると、皆円になって立っていた。
誰も声を出していない。円の外側には、ごまのはえさんやニットキャップの人の姿もあった。

僕が来てすぐに、そのゲームっぽいのは終了したみたいで、休憩となった。参加者に話を聞くと、そのゲームっぽいのは、
まず全員が円になる。まず1という掛け声と共に、誰か1人、前に出る。このとき声に出して示し合わしてはいけない。次は2という掛け声と共に二人が前にでる。これを1,2,3,4,4,3,2,1まで順に成功させるのが目標。結局、最高4までで成功しなかったらしい。目的は何だったんだろう。


そして台本の読み合わせ。適当に役が割り振られる。
僕は、割と出番の少ない役だったが、最初だったので緊張した。
ごまのはえさんの指示は「なるべく読まずに喋るようにすること」。わかるような気がするが、実際どんなふうにすればいいのかよくわからない。自分でも、喋っているのか、それっぽく読んでいるだけなのかよくわからない感じで、他の人にどんなふうに聞こえているのかとかになると全然わからない。うまく言えているのか、うまく言っているような感じになっているだけなのか。まあ、こんなことは初心者で何も知らない僕が小手先の言い方について考えたところでどうしようもないので、あんまり気にしないことにした。他の人の言い方とかを聞く。


やはりというか、演劇経験者は、今のところ他の人間と一味違うなあと感じた。声に存在感があるというか、聞いてて楽しい。これまでは話し合いとかゲームが主だったので、その普段のときとのギャップもあって新鮮だった。


最初の指示以外は特に何もなく、初の読み合わせということで、皆がそれぞれの思いで読んでいた。その人の読み方で面白い台詞に気付いたり、自分の感じと違う読み方がされているなとかこの人の声がいいなと思ったりしながら聞いていると割と楽しかった。結局読むだけで約一時間半かかった。割と喋りっぱなしの人もいたが、これを長時間集中して練習するのって結構しんどそうだなと思った。


ごまのはえさんは厳しい人だと聞いていたので、来る途中あれこれ想像していたのだが、今日の所は普通の人だった。まあ当たり前なのだけど、笑顔も見せるし、冗談も言う。あと進め方とか喋り方が落ち着いてて、普通に大人なんだなと感じた。演出を付けるときは、その落ち着きで淡々とダメ出しをしていくのが、怖いのかもしれないが。