白飯

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ヤサシイワタシ ひぐちアサ

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

綺麗目な女の子が葉っぱをくわえた表紙に、ポエミーな純愛物語を想像したが、全然違った。やたら行動的で、言いたいことははっきり言う奔放な女と元テニス少年で純粋真面目な男の写真サークルを舞台にした生々しい恋愛物語だと思ったら、また違った。後半で衝撃的な展開をしていくのだけど、そのあたりに関してはネタばれになるのでここには書かないでおこう。


生々しく感じたのは、サークル内の人間関係やら男女間の恋愛などなどが、整合性のとれた関係になってなくて、ギクシャクしながらそれでもまあ見かけ上続いていってるとこらへんか。正直、ここにあるようなサークルとか恋愛の雰囲気なんて全然知らないので、何とも言いようがないのだけど。


登場人物達が、そのときの感情やら経験やらで、ぽつりぽつりと断片的に語る言葉は、なんかとてもリアルな心情を表しているのだと思うけど、読解力のなさか僕の経験や思いの少なさでわからない部分がたくさんあった。わかるような、でも形にならない。なんか答えをバシッと決めて喋って終わりっていうのもわかりやすいのばっかり見てたので、こういうわらわらとした群像から、ぼんやりと想像して浮かび上がらせる感じも面白いなあと思った。やりたいことをやりたい。という若いころの目標というか方針?はやっぱり誰もが悩むんだなあと思った。


後半の展開は、作者の狙い通りなのだろうが、やられた。前半が前振りだったとは。
この人の前の単行本も読んだが、のほほんとした日常風景に紛れ込ませて、登場人物の性格とか感情とかの切り取り方が独特だなと感じた。書いててようわからんが。スパッとあっさりと書きたいことを書いてる気がするので、「大きく振りかぶって」ももうすぐ終わるんじゃないかと思った。