白飯

好きな物100

イッツァワンダフルワールド

午前中にいけなかった銭湯に行く。昔、先輩と一度だけ行ったことのある因縁深いところだ。広くはなかったがなかなかアドベンチュア溢れるところだった。

まず蛇口。お湯を出すには先に丸いのがついたの突起を下に下げる。カチャカチャする感じが、なんかロボットとか戦艦のオペレータを思い起させた。今のオペレータは何でもキーボードでやってそうだけど、こーゆーのがいいのよ。昔気質のオペレータはきっとそう。脇役とはいえ生きがいがないと。
仰向けになって、全身を水流でブクブクしてくれる風呂では、薬湯とかいって黄色い色をしてて、培養液ごっこができそうと思った。とりあえず、回復液から出るべジータになり切ろうとしたけど、あれは全身入らないといかんので感じが出んかった。あとねるねるねるねを思い起こさせる色で、なんとなく時折足がちゃんとあるか(溶けてないか)確認してた。
足ふみマッサージをかねた石が並べられてて、サウナ以上の熱気と湿気がむんむんした部屋があり、暑い空気を吸い込むたび、死の危険を感じた。身体的にどうとかより、こんな場所にいたら死ぬという精神的な怖さがあった。こんな状況になったら狂うと思う。火山とか火事とかやっぱ大変だわ。
普通の風呂は三つの風呂が少し段になって連なっている。最初のにドバーとお湯が入ってて、それが溢れて二段目に、そしてそれが溢れて三段目に、そして三段目の入り口のところからドバーと足マットみたいなのに流れてる。この流れが激しいので、正常な教育を受けてきた僕には水の無駄遣いが気になるのだけど、こうあからさまだと、きっと循環してまた一段目に入り込んでいるんだと考えられる。そしてそれはもしかして永久機関?とか思い出したらきっと楽しい。
などなど。この銭湯では、この世の全てのものはおそらく想像力と感性次第で何でも楽しくなるものなんだなあということを感じた。残念ながら日々失われていく能力ではあるけれど、子供の頃はそういう力が大きいんでないだろうかと思った。楽しかったろうなあ銭湯。
着替える所で壁の向こうから話し声が聞こえるのだけど皆おばあちゃんの声だった。銭湯でワクワクドキドキはしなくなったけど、僕は失望したりはしなくなっている。