白飯

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暗闇の中に子供

暗闇の中で子供 (講談社ノベルス)
最近、読み始めて3冊目。舞城王太郎。「煙か土か食い物」の続編。内容紹介。

あの連続主婦殴打生き埋め事件と三角蔵密室はささやかな序章に過ぎなかった!
「おめえら全員これからどんどん酷い目に遭うんやぞ!」
模倣犯コピーキャット)/運命の少女(ファム・ファタル)/そして待ち受ける圧倒的救済(カタルシス)……。奈津川家きっての価値なし男(WASTE)にして三文ミステリ作家、奈津川三郎がまっしぐらにダイブする新たな地獄。
――いまもっとも危険な“小説”がここにある!

主人公が末っ子の四郎から三男三郎に代わって、また前と同じ一人称で、句点が少ない。展開早い。事件が起こって次の段落で解決みたいなことがずっと続く。今回は主人公が小説家ってことがあってか内面的な描写も多いんだけど明らかになる事実や展開が切れ目なく続くので飽きない。

飽きずに読み進んでしまうこの気持ちは何?と作者を賞賛する前に懐疑的な気持ちになってしまうのは何故だろうか。騙されまいとする安いプライドか。それだけ胡散臭いんだこの本は。

この作者の人は、読者が作者と暗黙の内で交わした物語の約束事を意図的に壊しているんじゃないか、というのがネット上での書評やら本を読んだ上の感想だ。この本のラストの圧倒的救済というのも、もうなんかようわからん。学校で読み終えたので本の感想をネットで探してみる。はてなダイアリーのキーワードはこういうときとても便利だ。私設ファンサイトではこの物語の真相をみんなで考察しまくってる掲示板なんかがあって、ある程度気持ちは補完できた。

感想読んで面白かったのは、物語中の作者が意図した矛盾や仕掛けや文章を批判しながら最後は面白いで締めたり、この作者じゃないけど同列(僕の中で)の佐藤裕也の小説を誉めながら最後に糞小説をありがとうなんていってるもの。舞城先生最高!なんてミーハーな感じでもなくて、こんなものは小説として認めません!みたいな硬さもなくて、いい感じに力が抜けてる。Amazonの感想の一文がとてもいい。『何と素晴らしいクサレ小説だろう』