白飯

好きな物100

プロローグ

夏。蝉の声が朝から五月蝿い。昨日の酒がまだ抜けない。時計を見た。6時43分。あ2分で目覚ましが鳴る。俺は2分でトイレに行けるか考えながら、起き上がった。まだコタツ布団のかかったテーブルの上で、ノートパソコンが音楽を鳴らし続けていた。どうやら、こいつのせいで起きたらしい。テレビをつけ、トイレに向かう。用を足しながら、昨日のことを思い出す。・・・何も思い出せない。そんなに飲んだのだろうか。手を洗おうと横の洗面台の蛇口をひねる、視線が横にずれ、バスタブの中を見た。そこで、見慣れないものが、見慣れない色と共に目に飛び込んできた。赤と赤、そして赤、黒い人の肌。半裸の子供が、折りたたまれるようにして、バスタブに収まっていた。時間が止まる、俺は動けなくなった。ジリリリリという割れるような目覚ましの音が鳴っても、俺はそこから目を離せなかった。