白飯

好きな物100

何太郎

人は日々成長していかねばならない。今日、やっと、1つ学習した。戦場(下宿)において、横になるとき、どんなに目が覚めた状態であろうと、死(寝坊)を覚悟せねばならない。百の経験をもって、手に入れた教訓は、僕の心の奥に、長く刻まれるだろう。

例えばこんな感じ。
60年後。日曜の夕刻。居間には祖父と、その孫。テレビには笑点。祖父は、半分目を瞑っているようだ。孫は、テレビを見ながら座布団を丸めて、下に置いた。そして、そのまま寝転がろうとしたとき。
「待て」おそらく初めて聞いたであろう、祖父の厳しい声に驚きながら疑問を口にする。「な、何?」 閉じかけていた祖父の目は見開いていた。「サザエさんは、見なくていいんだな?」戸惑いながら、答える孫。「あ、ああ別にどうでもいいけど・・でもあれは6時半からだし・・」孫の答えに満足したのか、それ以上は聞かず 「・・そうか、『覚悟』があるなら、それで、良い。それでな・・」そう言うと、また祖父は目を瞑った。
孫は、何がなんだかわからないまま、寝転び、笑点を見る。見たまま、祖父に問う。「お爺ちゃん・・昔、何かあったの?」。しばらくして、祖父は目を瞑ったまま、呟いた。「昔、戦場で、な・・・」
笑点はお開きとなった。孫の目は既に閉じている。

何だ、こりゃ。